2014年7月1日に日本もPIC/Sに加盟し、45番目のPIC/S加盟当局となりました。
本背景より、PIC/S GMPに準拠した製造管理および品質管理が求められるようになりました。
GMP施行通知(2013年8月30日発出)にて、新たに盛り込まれた要件への対応は急務となっており、特に安定性試験全般に関わる変更事項は、対応労力、並びに投資(コスト)などに影響するため、計画的対応が必要と考えます。
当社のお客様からも「安定性試験における最新情報などを共有してほしい」という問合せが、日々届いている状況です。そこで、概略ではありますが、関連するポイントを以下に記載します。
GMP施行通知「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の取扱いについて」で盛り込まれた安定性試験全般に関わる内容(薬食監麻発0830第1号参照)より、5つのポイントをまとめました。

 

1.品質リスクマネジメントの活用

「品質リスクマネジメントは、医薬品又は医薬部外品を適切に製造する品質システムであるGMPの製造・品質管理を構成する要素であるとともに、品質に対する潜在リスクの特定、製造プロセスに対する科学的な評価及び管理を確立するための主体的な取り組みである。」と記載されています。医薬品安定性試験は品質リスクに直結すると考えられているため、「科学的な評価及び管理」を求められるようになり、適切なリスクマネジメントを行う必要があります。

 

2.安定性モニタリング

「(ア)製造業者等は、製造した最終製品あるいは原薬が定められた保管条件下で、有効期間、リテスト期間又は使用の期限にわたり、保存により影響を受け易い、測定項目及び品質、安全性又は有効性に影響を与えるような測定項目が規格内に留まっており、また留まり続けることが期待できることを、適切な継続的プログラムに従った安定性モニタリングによって監視し、その結果を記録し保管する必要があること。」と記載されています。各種PIC/S対応セミナーや事例集(GMP11-69参照)では「一般的な原薬、製剤においては原則として25℃±2℃、60%RH±5%RHの条件で保存する」との見解が示されています。

 

3.バリデーション基準

「バリデーションは、製造所の構造設備並びに手順、工程その他の製造管理及び品質管理の方法(以下この基準において「製造手順等」という。)が期待される結果を与えることを検証し、これを文書とすることによって、目的とする品質に適合する製品を恒常的に製造できるようにすることを目的とする。」と記載されています。従来「安定性試験装置のバリデーション」と呼んでいた作業内容は、本質的にクオリフィケーションに該当するため、表現自体もクオリフィケーションと改める傾向にあります。
また、設備のライフサイクルを通じたバリデーションマスタープラン(VMP)の作成、それに紐付く設備やシステム(安定性試験の装置及びシステム)の適格性評価(DQ/IQ/OQ/PQ)の実施、品質リスクを考慮したバリデーション(正確には、クオリフィケーション)の実施が求められ始めています。

 

4.参考品の保管

「 「参考品」については、「製品(GQP省令第9条第2項の市場への出荷の可否の決定に供されるものに限る。)(以下「最終製品」という。)」以外に、原料及び市場に出荷された製品の品質に影響を及ぼすと考えられる資材等のうち、品質を確保する手段として適切なものも参考品として保管する必要があること。」と記載されています。よって、最終製品や原料、品質に影響を及ぼすリスクがある資材を保管する必要があります。近年では「参考品保管室」のマッピング及びモニタリングセンサ設置などに関する問合せが増加しています。

 

5.サプライヤ管理(補足)

本項は、まだGMP施行通知には記載がないものの、本流であるEU GMPで求められている内容であり、「医薬品品質リスクに直結する原料及び資材の供給者との間で、製造及び品質に関する取り決めを行い、取り決めた内容に従って製造及び品質の管理ができていることを適切にリスク評価し確認する必要がある。(EU GMPは、取り決めを行う必要がある対象をGMP活動全般に拡大しており、今後はPIC/S GMPもGMP活動全般に拡大される見込み)」と記載されています。このような問合せは近年増加傾向となっており、PIC/S加盟直後より、サプライヤ管理が厳しくなっていることを実感しています。

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